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栗や柿、きのこ、新米やサンマなど、秋の味覚が食欲を誘う季節です。

「天高く馬肥ゆる秋」ということわざがありますが、 澄み渡る空の下、よく肥えた馬ならぬカマドウマ(バッタ目)が、道端に姿を現しました。

カマドウマは湿り気のある場所に好んで生息する昆虫です。
姿はコオロギに似ていますが、翅がなく、その代わりに後脚が発達していて高く跳び上がることができます。
食性は幅広く、小さな昆虫や樹液、落ち葉など、動物質、植物質、生きたもの、死んだものを問わず、なんでも食べます。

草むらに潜んでいるカマドウマを見ていると、そこにトカゲがやってきました。

カマドウマを捕食するニホントカゲ
カマドウマを捕食するニホントカゲ

カマドウマはトカゲに食べられてしまいました。
ぷっくりとした形のカマドウマは、トカゲにとって、ごちそうに見えたことでしょう。

ときどき民家の中に入り込み、「便所コオロギ」の名で呼ばれ、嫌われ者のイメージがあるカマドウマ。
ところがこのカマドウマ、森と川の生態系をつなぐ架け橋として、興味深い役割を果たしています。

神戸大学の佐藤拓哉博士が紀伊半島の川で行なった研究調査では、そこに生息するサケ科の渓流魚は、年間に必要とされるエネルギーのうち、約6割をカマドウマから得ていました。

なぜこれほど多くのカマドウマが渓流魚の餌となっているのでしょうか。
それはカマドウマの体内に寄生しているハリガネムシの仕業です。

カマドウマに寄生するハリガネムシ(写真:檀上幸子)
カマドウマに寄生するハリガネムシ(写真:檀上幸子)

ハリガネムシは川の中にいて、まずカゲロウやユスリカなどの水生生物の体内に入ります。
そこでハリガネムシはシストと呼ばれる状態になり、休眠に入ります。
水生生物はやがて羽化して川から陸に移動します。
それをカマドウマが捕食すると、そこで休眠が打破され、カマドウマへの寄生が始まります。
成長したハリガネムシは、繁殖のためにカマドウマを操って川に飛び込ませます。
それを魚が捕食しているのです。

研究では、大量のカマドウマが川に飛び込むことで、水生生物が渓流魚からの捕食を免れる機会が増え、それらが藻を食べたり、有機物を破砕するといった、生態系のバランスに関わる機能が維持されていることもわかりました。

森に生息するカマドウマは、川の生態系機能の維持に一役買っているのです。

そんなカマドウマを私たちは「便所コオロギ」と呼んだりします。
しかしこれは自然な感情であるのかもしれません。

ハリガネムシに寄生されたカマドウマは繁殖能力を失います。
そして最後は寄生虫に操られ、川に飛び込み、魚の餌になります。

カマドウマの姿がもたらす印象は、こうした行動の悲劇性を和らげています。
もしカマドウマが愛らしい姿をしていたならば、この営みは私たちの目に、とても残酷なものと映ってしまうことでしょう。

個体レベルではなんの得があるのかわからない行動を見せるカマドウマですが、なんでも食べ、よく太り、時折大発生して私たちを驚かせるほど、地上で繁栄している生きものになっています。

(F)

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